LEGLABO 講師ブログ
英語をそのまま日本語に直訳すると、違和感のある変な日本語になるからテストや入試では正解にならないことが多いですよね。
でもあえて、英語をそのまま直訳してみることで、日本語と英語の違いを感じられて英語話者の世界の見え方を知ることができます。
言語ってその言葉を話す人の見ている世界やものの捉え方を表しますからね。
試験やテストではあまり役には立たないかもしれませんが、直訳から英語話者の世界の見え方が分かり、「何でこんな表現になるの?」とモヤモヤしていたことがクリアーになるきっかけになるかもしれません。
例として、いくつか英文を文法のルール通りに直訳してみます。
The typhoon made us cancel the event.
【直訳】その台風が私たちにそのイベントを中止させた。
日本語だとなんか変な感じがしますよね。違和感の原因は「台風が私たちに中止させた」と台風という無生物が主語になって人に影響を与える、という文構成ですね。
日本語ではあまり「物が人に影響を与える」という言い方はしないですよね。
もし上の文と同じ内容を日本語で自然な形で言おうと思ったら、「私たちは台風が原因でイベントを中止した。」と、あくまでも「人が~する」という文構成になります。
英語話者は、「無生物が人に影響を与える」と無生物を中心に考えることがあるということですね。
My grandfather has been dead for ten years.
【直訳】私の祖父は10年間ずっと死んでいる。
「10年前に死んだ」とは言いますが、「10年間ずっと死んでいる」は言わないですよね。
私もこの表現変やなーとずっと思っていたんですが、ある本に解説があって納得しました。
この表現には英語話者の死生観が表れています。
英語圏の人たちの死生観は、「身体(body)が死んでも、魂(soul)はずっと生き続ける。bodyとsoulは別々だ」という考えだそうです。
この表現は、「私の祖父の身体は10年間機能停止(=死)しているよ。(でも、魂はずっと生き続けているけどね。)」という考えを表しているというわけです。
魂は生き続けているという価値観があるから、過去形ではなく現在完了を使って表現しているんですね。
日本語だとイマイチしっくり来ないかもしれませんが、まさにそのしっくりこなさが英語話者の見ている世界、価値観です。
No tax included
【直訳】ゼロの税が含まれている
要は税抜きということですが、これなら「tax excluded」と書いた方が早いんじゃないかと思いますよね。こういう「No」を使った表現は英語でも多いです。
She said nothing.
【直訳】彼女はゼロのことを言った=何も言わなかった
こんなのとかも似たような表現ですね。
これは私の個人的な考えで正しいかは分からないですが、英語話者が否定を強調したい部分が名詞にあるからこういう文になるのかなと思います。そういう時は動詞で否定を作らずに、名詞で否定を作るのではないかと...。No tax included も、「税」はないよ!と否定の焦点が「税」にあるからこういう表現になっているのかもしれません。
入試やテストではあまり活用できないかもしれませんが、英語と日本語の違いを結構楽しめたりするので、よかったら息抜きにでもやってみてくださいね。